授業科目名 配当年次 開講期間 所要単位 必修・選択 担当者名
社会的養護 1 後期 2 選択 伊藤 龍仁


【授業の目的と概要】

社会の変化によって子どもの養育の在り方が変わり、社会的養育(養護)の役割もますます大きくなっている。この授業では、まず私的な養育を代替する社会的養育と児童養護の意味と役割を整理する。そして、その原理と成り立ちを踏まえ、子どもの権利を保障する社会的養護の全体像と実際について理解することを目的とする。特に、社会的養護を利用する子どもの家族と地域の現状、社会的養護の制度とサービス体系、基本的な実践内容、資格制度や担い手などを取り上げながら、施設養護と家庭養護の特徴を踏まえ、今後の社会的養育(養護)のあり方を展望する授業を展開したい。

【授業の方法】

授業の冒頭で前回授業で回収したシート、及び小テストを返却し、コメントを加えてフィードバックを行う。同時に授業用のアクション・シートを配布し、「今日の目標」と各自の「関心」を記述させる。その後、テキスト及び配布資料に基づき、ディスカッション・ディベートを取り入れた講義形式で60分程度授業を行う。最後に10分程度の時間を使い、テーマを示してブリーフ・レポートを記述させるとともに、理解度の自己評価をさせて提出させるする。

【各回のテーマ】

第1回 科目オリエンテーション・社会的養護とは何か

第2回 社会的養護の基本原理・施設養護と家庭養護

第3回 社会的養護の現状と児童養護問題 

第4回 社会的養護の歴史①近代までの歴史と岡山孤児院

第5回 社会的養護の歴史②戦後史とホスピタリズム論争

第6回 社会的養護の理念と子どもの権利 

第7回 社会的養護の法制度 ~児童福祉法と児童虐待防止法~

第8回 子どもを保護する仕組みと行政機関 ~児童相談所を中心に~

第9回 施設養護の体系と過程及び実践内容 

第10回 社会的養護の領域①乳児院・母子生活支援施設

第11回 社会的養護の領域②児童養護施設

第12回 社会的養護の領域③児童心理治療施設・児童自立支援施設・障害児系施設

第13回 社会的養護の領域④里親とファミリーホーム

第14回 社会的養護の担い手/レジデンシャルワークと施設内虐待

第15回 社会的養護のこれから・まとめ

【各回の内容】

第1回 社会的養護の授業を受ける上でのオリエンテーションを行う。特に、事前事後学習の方法や施設等への見学・ボランティア活動等への参加方法を説明する。

第2回 私的養育と社会的養育、児童養護と社会的養護の考え方を整理しながら、施設養護と家庭養護に分かれる社会的養護の構成と基本原理を理解する。

第3回 45000名の要保護児童が利用している社会的養護の現状を概観し、児童養護問題の本質を理解する。

第4回 わが国の社会的養護の起源と近代までの歴史を概観する中で、特に岡山孤児院における先駆的な社会的養護実践を紹介する。

第5回 社会的養護の現代史の変遷を概観するとともに、戦後の社会的養護のあり方を左右したホスピタリズム論争を取り上げ、家庭的養護の推進が求められている現状を理解する。

第6回 社会的養護の理念を踏まえ、子どもの権利保障と社会的養護についての関係性、関連する政策等について学ぶ。

第7回 児童福祉法を中心とした法制度の成り立ちを学ぶ。児童虐待対応の仕組みをつくる児童虐待の防止等に関する法律も取り上げる。

第8回 子どもを虐待から保護する仕組みを理解する。そして、社会的養護において重要な役割を果たしている児童相談所とその役割を学ぶ。VTR学習を取り入れる。

第9回 社会的養護の体系を構成する児童福祉施設を中心としたサービス体系と、施設養護の過程及び基本的な実践内容を把握する。

第10回 乳児院と母子生活支援施設の現状と課題を学ぶとともにVTR学習を通してその実際を理解する。

第11回 児童養護施設の現状と課題を学ぶとともに、VTR学習を通してその実際を理解する。

第12回 児童心理治療施設・児童自立支援施設・障害児系施設の現状と課題を理解する。

第13回 里親とファミリーホームの現状と課題を学ぶとともに、VTR学習を通してその実際を理解する。

第14回 施設における多様な専門職に加え、里親・ファミリーホーム養育者等の非専門的マンパワーの現状と課題など、社会的養護の担い手について理解する。また、レジデンシャルワークの内容を把握した上で、施設内虐待を取り上げる。

第15回 新しい社会的養育ビジョンに基づく社会的養護の今後を展望する。まとめの小テストを実施する。

【事前・事後学習】

次回の授業テーマに関する新聞記事や予習資料と該当するテキスト頁をよく読み、わからない箇所に下線を引きながらノートにまとめる事前学習を2時間程度行う。

授業後には、使用した配布資料・アクションシート・小テスト等はすべてポートフォリオに整理するとともに学習の要点をノートに整理する事後学習を2時間程度行う。

【課題に対するフィードバックの方法】

授業で使用するアクションシート(ブリーフレポート)は回収後、評価を入れて次回授業時に返却する。ブリーフレポートは返却時に適宜コメントする。小テストは採点後の返却時に模範解答を解説してフィードバックする。

【授業の到達目標】

社会的養護の役割と意味を踏まえ、その理念と基本原理を理解できる。【2019教育学部DP(1)】

社会的養護の歴史と成り立ちを理解できる。【2019教育学部DP(1)】

社会的養護の法制度とサービス体系を理解できる。【2019教育学部DP(1)】

社会的養護の現状と課題を踏まえ、その未来を展望できる。【2019教育学部DP(1)】

保育実習に必要な基礎知識を習得できる。【2019教育学部DP(1)】

【評価割合 - 筆記試験《%》】
0%
【評価割合 - 実技試験《%》】
0%
【評価割合 - レポート《%》】
15%
【評価割合 - 平常評価(授業への参加・貢献度)《%》】
15%
【その他(授業内課題等)《具体的内容》】

授業テーマ毎にアクションシートを配布し、①目標、②関心と構想、③ブリーフ・レポート、④自己評価を記載させる。

授業内小テストを4回実施する。

【評価割合 - その他(授業内課題等)《%》】
70%
【テキスト】

喜多一憲監修・堀場純矢編『みらい×子どもの福祉ブックス 社会的養護』みらい

『保育・福祉小六法』みらい

【参考図書】

長谷川眞人監修 『しあわせな明日を信じて』 福村出版

『社会的養護とファミリーホーム』 福村出版