授業科目名 | 配当年次 | 開講期間 | 所要単位 | 必修・選択 | 担当者名 |
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教育社会学 | 2 | 後期 | 2 | 必修 | 今津 孝次郎 |
【授業の目的と概要】 |
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学校の制度と組織に関する基本的知識を習得し、個別の学校を総合的に把握する概念として学校組織文化の視点に慣れる。学校組織文化の前提や深層部分が問われてくるのが、いじめ・非行などの暴力的問題行動への対処法であり、体罰と懲戒に関する教員集団の態度であることに気づく。具体的な教育問題の解明を通して、学校組織を表層部から深層部に及ぶ構造として探究し、教育実践の課題を考察する。 |
【授業の方法】 |
講義形態でおこなう。授業内容に即して与えられる毎回の課題について、授業の最後に小レポートを作成する。次の回の最初に、いくつかの典型的な小レポートを紹介して、その内容に関するディスカッションをおこないながら、その回のテーマを理解する。 |
【各回のテーマ】 |
第1回 社会変化のなかの学校組織と教育問題 第2回 学校の組織文化(1)学校組織の多様性 第3回 学校の組織文化(2)組織学習と組織文化 第4回 学校の臨床社会学 第5回 いじめ問題(1)いじめ問題の変遷 第6回 いじめ問題(2)情報メディア環境といじめ 第7回 いじめ問題(3)いじめ防止対策推進法 第8回 いじめ問題(4)青年前期の攻撃性といじめ 第9回 体罰問題(1)体罰問題の変遷 第10回 体罰問題(2)体罰と懲戒 第11回 体罰問題(3)教師の権威と権力 第12回 学校組織と暴力(1)攻撃性と暴力 第13回 学校組織と暴力(2)学校組織の協働体制 第14回 学校の危機管理 第15回 教育問題を克服する学校づくり |
【各回の内容】 |
第1回 1980年代を通じて日本社会の大きな変動に巻き込まれた学校教育の揺らぎと、そこから生じた種々の教育問題を概観する。 第2回 一口に学校と言っても、同じ学校種でも個々の学校は違った状況を示している。その性質を学校組織文化という新たな概念で捉え、その仕組みを解明する。 第3回 学校は組織として学習する側面を指摘し、校内研修を通して学校改善を図ることが学校組織文化の 変革に繋がることを考察する。 第4回 臨床社会学の考え方を応用した学校臨床社会学は、勤務学校が抱えた教育問題を解明し、その解決を目指す臨床的方法に拠ることを説明する。 第5回 1980年代から社会問題ともなったいじめは、40年が経過するのに、未だにその理解や把握法は混乱したままであることを指摘し、解決に向けた問題を多角的に解き明かす。 第6回 今日の情報メディア社会では、いじめがかつてとは異なる様相を帯びてきた。その性質を明らかにして、学校が家庭・地域と連携して取組む方策を検討する。 第7回 初めての法律「いじめ防止対策推進法」の特徴を解説して、その意義と限界を指摘しつつ、学校でのリスク・マネジメントとクライシス・マネジメントを考察する。 第8回 いじめは青年前期に特徴的な攻撃性の高まりから生じやすいことを指摘し、攻撃性について説明する。 第9回 教師の体罰は法律で禁止されているにもかかわらず、100年以上経過した今でもなくならない背景を歴史的に検討する。 第10回 体罰は禁止されているが、懲戒は合法的であることを再確認し、いかなる規律を各学校は設定するのか、規律違反にどのような懲戒を与えるのかという発想の重要性を習得する。 第11回 教師の体罰は「権力」行使である。それに対する「権威」のあり方を知り、生徒に対する権威関係の仕組みについて解明して、具体的に教師-生徒関係のあり方を見直す。 第12回 いじめや不登校、非行を解明するときに最も重要な点は子ども理解であり、とりわけ青年前期の 発達的特徴である攻撃性を理解せずして、生徒指導上の諸問題の解決はあり得ないことに気づく。 第13回 いじめや体罰問題の解決にとって教員の同僚性は不可欠であり、学校組織が協働体制を確立して いなければ問題に対応できないことを学ぶ。 第14回 あらゆる組織にとって危機管理の重要性が高まっているが、学校組織は極めて遅れている。危機意識に基づく危機管理の運営を通して安全で安心な学校づくりの課題を考察する。 第15回 各学校が持つ学校組織文化の改革を目指すことは、いわゆる「学校づくり」そのものであることを総まとめとして論じる。 |
【事前・事後学習】 |
毎回の授業の最後に一つまたは二つの課題を出し、小レポートにまとめて提出する。その課題解答に関連した事後学習をさらに2時間おこなう。次回のテーマに関するテキストの該当頁を予告し、事前に目を通すことでさらに2時間の事前学習を促す。 |
【課題に対するフィードバックの方法】 |
毎回の小レポートについて、次回の冒頭で全体的な傾向と、典型的内容を紹介し、討議の材料にする。 |
【授業の到達目標】 |
学校の制度と組織を理解する基本視点を習得することができる。 子どものいじめと教師による体罰の問題を解明しながら、学校組織がいかに暴力に向き合うかという基本課題を探究することができる。 学校組織文化の改善の諸課題を考察することができる。 【2019教育学部DP(1)(2)】 |
【評価割合 - 筆記試験《%》】 |
0 |
【評価割合 - 実技試験《%》】 |
0 |
【評価割合 - レポート《%》】 |
期末最終レポート60 |
【評価割合 - 平常評価(授業への参加・貢献度)《%》】 |
質問や意見、感想の発言など10 |
【その他(授業内課題等)《具体的内容》】 |
毎回の課題に関する小レポート |
【評価割合 - その他(授業内課題等)《%》】 |
30 |
【テキスト】 |
今津孝次郎『学校と暴力-いじめ・体罰問題の本質-』平凡社新書 |
【参考図書】 |
参考書はそのつど紹介し、参考資料は必要に応じて適宜配布する。 |