授業科目名 配当年次 開講期間 所要単位 必修・選択 担当者名
教職概論(幼・小) 1 後期 2 必修 今津 孝次郎


【授業の目的と概要】

教師に対する人々の期待は大きい。そうした期待に応えるためにも教職の実態と専門職としての理念について理解するなかで、教職への意欲や責任感を培う。第一に教師の現状を把握するために教師の歴史や教師の役割、協働性の観点から教師の実態を捉える。第二に教師の専門性について検討する。第三に教師の資質・能力のしくみを明確にする。第四に教師教育の制度を概観しながら、教師が育つ幅広い環境について解明する。

【授業の方法】

講義形式でおこなう。さらに、授業内容に即して与えられる毎回の課題について、授業の最後に小レポートを作成する。次の回の最初に、いくつかの典型的な小レポートを紹介して、その内容に関するディスカッションをおこないながら、その回のテーマを理解する。

【各回のテーマ】

第1回 教師の現状-1980年代以降の教育問題と教師への信頼性

第2回 教師の役割(1)「教師」と「教員」

第3回 教師の役割(2)教師の協働性

第4回 教師の歴史-聖職・労働者・専門職

第5回 教師と生徒の関係-権威関係と権力関係

第6回 専門職としての教師(1)専門職の要件

第7回 専門職としての教師(2)教師の専門性

第8回 教師の資質・能力(1)資質・能力の構成

第9回 教師の資質・能力(2)資質・能力の向上

第10回 教師教育制度(1)教員養成

第11回 教師教育制度(2)現職研修

第12回 教師教育制度(3)指導力不足教員の指導改善研修

第13回 教師が育つ環境(1)学校での「出会い」

第14回 教師が育つ環境(2)教師を支援する人々

第15回 教員評価の課題-評価による教師の成長

【各回の内容】

第1回 1980年代以降の「教師バッシング」の状況を基に、教師への信頼性の低下について多角的に解明する。

第2回 あるべき「教師」像の追求と、学校組織内での現実的な「教員」実態とを対比的に検討する。

第3回 法規的に定められた教員の服務と、教員に保障された労働条件について概説する。

第4回 教職の基本的捉え方として、聖職・労働者・専門職という三つの性格を歴史のなかで検討する。

第5回 教師-生徒関係は授業だけでなく、他の場面でも重要であり、権威と権力の観点から再検討する。

第6回 現代の教師の捉え方である専門職について、一般的な基本要件を整理する。

第7回 教師の専門性について、従来のように諸要素を羅列するのでなく構造化した内容として捉え直す。

第8回 教師の資質・能力の構成を層化して捉え、現在の学校問題を解決しうる力量として理解する。

第9回 資質・能力向上の方策として、公的な現職研修だけでなく、私的な自主研修にも注目する。

第10回 教員養成の制度について、歴史的変遷から外国との比較、最近の改善について概観する。

第11回 現職研修の制度的仕組みと、具体的な取組み事例について紹介し、今後の課題を指摘する。

第12回 あまり触れられていない指導力不足教員の基本的特徴を明らかにし、改善研修についても報告する。

第13回 学校で教師は種々の「出会い」を経験し、多くの人々の支援を得るという側面に目を向ける。

第14回 教員評価については誤解もあるので、評価自体を見直し、教師の成長と評価の関係を問う。

第15回 教師を目指す自己を見つめ直す機会を提供する学校参加の諸方法を紹介する。

【事前・事後学習】

毎回の授業の最後に一つまたは二つの課題を出し、小レポートにまとめて提出する。その課題解答に関連した事後学習をさらに2時間おこなう。次回のテーマに関するテキストの該当頁を予告し、事前に目を通すことでさらに2時間の事前学習を促す。

【課題に対するフィードバックの方法】

毎回の小レポートについて、次回の冒頭で全体的な傾向と、典型的内容を紹介し、討議の材料にする。

【授業の到達目標】

教育実習で実地に教職経験を積むための準備として教職に関する基礎知識を習得することができる。

教員の職務内容と責任について専門性の観点から理解することができる。

教員養成と現職研修を通じた資質・能力向上について、国際的視野の下に探究することができる。。

【2019教育学部DP(1)(2)】

【評価割合 - 筆記試験《%》】
【評価割合 - 実技試験《%》】
【評価割合 - レポート《%》】
期末最終レポート60
【評価割合 - 平常評価(授業への参加・貢献度)《%》】
質問や意見、感想の発言など10
【その他(授業内課題等)《具体的内容》】

毎回の課題に関する小レポート

【評価割合 - その他(授業内課題等)《%》】
30
【テキスト】

今津孝次郎『教師が育つ条件』岩波新書

【参考図書】

参考書はそのつど紹介し、参考資料は必要に応じて適宜配布する。