授業科目名 配当年次 開講期間 所要単位 必修・選択 担当者名
多文化理解教育 3 後期 2 選択 今津 孝次郎


【授業の目的と概要】

1990年代以降、増加する外国につながる子どもの教育への取り組みについて各学校は模索を繰り返してきた。この20年の歩みのなかで、学校適応と日本語学習に関して一定の成果は上げてきたが、新たな諸課題が浮上している。そこで内容的には、第一に文化や多文化といった基本概念を踏まえる。第二に新たな課題となる学習言 語やキャリア教育、多文化共生といった諸問題について具体的に検討する。

【授業の方法】

講義形式でおこなう。さらに、授業内容に即して与えられる毎回の課題について、授業の最後に小レポートを作成する。次の回の最初に、いくつかの典型的な小レポートを紹介して、その内容に関するディスカッションをおこないながら、その回のテーマを理解する。

【各回のテーマ】

第1回 グローバル社会の学校が抱える基本問題

第2回 移民の増加と外国につながる子ども

第3回 文化・異文化・カルチャーショック・多文化

第4回 異文化理解と自文化認識

第5回 外国人児童生徒教育の20年

第6回 日本語教室の取り組み

第7回 多文化のなかの日本語

第8回 日常言語としての日本語の特徴

第9回 学力保障と学習言語

第10回 外国人児童生徒のキャリア教育

第11回 多文化保育

第12回 保護者・地域との連携

第13回 地域社会の多文化共生

第14回 教師の専門性と多文化理解教育

第15回 多文化理解教育の課題

【各回の内容】

第1回 グローバル社会がいかなる影響を日本の学校に与えているかについて具体的に検討する。

第2回 移民や国際結婚の増加とともに、日本文化とは違う異文化を抱えた「外国につながる子ども」たちが近隣に多く住んでいる現実に目を向ける。

第3回 文化とは何かを理解し、異文化同士が出会うときに必ず生じるカルチャーショックの仕組みを検討し、多文化の諸相を明らかにする。

第4回 異文化理解の重要性とともに、同時に自分化認識の側面にも十分な注意を向ける。

第5回 1990年代から外国人児童生徒教育が20年以上にわたって取組まれてきた歩みを整理する。

第6回 日本語教室の成果と問題点、その変化と課題について具体的に検討する。

第7回 日本語の特徴と日本語教育について、多文化の観点から検討する。

第8回 日常言語としての日本語の特徴と、その習得過程を検討する。

第9回 まだ十分に解明されていない学習言語の仕組みを明らかにし、その習得過程を検討する。

第10回 外国人児童生徒のキャリア教育は手つかずの課題であり、進学と就職、あるいはアイデンティティ形成の側面から検討する。

第11回 多文化保育の歩みと、その諸課題について、保育者の取組みの観点から指摘する。

第12回 「外国につながる子ども」の保護者との関係や日本人の保護者との関係、さらには地域がどう受け入れるのか、について検討する。

第13回 「多文化共生」の意味を明らかにし、各地域での実際の取組みを眺めながら、グローバル化する地域社会での異文化交流の課題を探る。

第14回 多文化理解教育について、教職志望者や現職教員が専門性向上のなかにいかに取り込んでいくべきか、を検討する。

第15回 これまでの検討結果を総合し、多文化理解教育の課題について考察し、多文化保育や多文化教育の今後の方向性について考察する。

【事前・事後学習】

毎回の授業の最後に一つまたは二つの課題を出し、小レポートにまとめて提出する。その課題解答に関連した事後学習をさらに2時間おこなう。次回のテーマに関するテキストの該当頁を予告し、事前に目を通すことでさらに2時間の事前学習を促す。

【課題に対するフィードバックの方法】

毎回の小レポートについて、次回の冒頭で全体的な傾向と、典型的内容を紹介し、討議の材料にする。

【授業の到達目標】

東海地域の保育所・幼稚園・小学校では多くの外国籍の子どもたちが在籍している実態を知る。

文化と多文化の概念の意味を理解し、多文化共生の目標を多角的に検討する。

多文化保育・外国人児童生徒教育に関するこれまでの実践成果を踏まえ、外国人をめぐる保育と教育に関する基本的な知識と技術について、日本語学習を中心に学ぶ。

【2019教育学部DP(1)(2)】

【評価割合 - 筆記試験《%》】
【評価割合 - 実技試験《%》】
【評価割合 - レポート《%》】
期末最終レポート60
【評価割合 - 平常評価(授業への参加・貢献度)《%》】
質問や意見、感想の発言など10
【その他(授業内課題等)《具体的内容》】

毎回の課題に関する小レポート

【評価割合 - その他(授業内課題等)《%》】
30
【テキスト】

特に使用しない。

【参考図書】

参考書はそのつど紹介し、参考資料は必要に応じて適宜配布する。