授業科目名 配当年次 開講期間 所要単位 必修・選択 担当者名
保育内容(身体表現) 2 前期 2 必修 伊藤 数馬


【授業の目的と概要】

幼児の身体表現は、教師の態度や言葉かけ等、その指導法により大きく影響される。そこで実際に指導案を作成し模擬保育を行い、その後のディスカッションを通して、身体表現に必要な指導法を学ぶ。模擬保育では教員・保育者の役割だけでなく子どもの役割も行い、子どもが感じる心を想像して、表現意欲がでる言葉かけ、より発展的に行える方法を考える。また、身体表現の教材についての技能を高めるようにする。

【授業の方法】

講義・実技形式で行う。授業の内容に応じてディスカッション及びグループワークを取り入れる。

【各回のテーマ】

第1回 教育要領「表現」における身体表現とその意味

第2回 身体表現指導における保育士・教師の役割

第3回 身体表現のための身体作りⅠ リズム感を育てる

第4回 身体表現のための身体作りⅡ 動くのが楽しい身体

第5回 身体表現のための身体作りⅢ 柔軟な身体作り

第6回 言葉かけⅠ 身体表現への導入をどうするか

第7回 言葉かけⅡ 身体表現の発展を考える

第8回 身体表現指導における指導案の計画・作成

第9回 年齢別の身体表現指導Ⅰ 年少児を対象とした指導案作成・模擬保育

第10回 年齢別の身体表現指導Ⅱ 年中児を対象とした指導案作成・模擬保育

第11回 年齢別の身体表現指導Ⅲ 年長児を対象とした指導案作成・模擬保育

第12回 教材別指導のポイントⅠ 日常保育における手遊び・体操・ダンス等

第13回 教材別指導のポイントⅡ 運動会における作品

第14回 教材別指導のポイントⅢ 生活発表会における作品

第15回 本講義のまとめ

【各回の内容】

第1回 教育要領「表現」について名前の由来、ねらい、内容とその取扱いについて解説を聞く。その上で、身体表現がもつ教育的意味についての知見を深め、実際の場面を想定して、条文の内容を理解する。

第2回 子どもの豊かな感性や表現は、指導者の表現力の豊かさが強く影響することを知る。指導者のことばかけ・表現力がその中心となること、そのために授業中・在学中・就職後に行わねばならないことについて考える。

第3回 子どものリズム感を育成することは表現力育成の基礎になる。そのためには、指導者自身のリズム感をよくする必要がある。ここでは、リズム感を高めるリズム表現遊びの習得と、その技術向上を目指す。

第4回 動くこと(表現)は本来楽しいものであること、楽しくないと表現はできないこと(心の解放)、身体表現は自分なりの動きでよいことなど、表現が楽しいと感じるような教材の習得と、その技術を磨く。

第5回 豊かな身体表現をするためには、柔軟な心と身体が必要である。そのための「くねくね体操」、模倣力を養う「身体のスケッチ」、イメージを表現する「イメージ表現」、「無対象表現」などから、身体表現力を養う。

第6回 身体表現ではその導入が最も難しい。子どもたちの気持ちが自然と表現に向かうためには「ことばかけ」が大きな役割を占める。それは場合によって多種多様であるが、事例を見ながら、自分なりのスタイルを考える。

第7回 身体表現は単発で終わったり、模倣だけになったりする。それを発展させていくために「ことばかけや態度」、「集団へ広げていく手法」、「関連する教材の提示」、「発表会への導入」など、多くの手法があることを学ぶ。

第8回 身体表現指導における指導案について、ねらいや内容について解説を聞く。その上で、実際の場面を想定して、指導案の計画・作成を理解する。

第9回 楽しいとにこにこ笑う1歳児、うれしいとやたら走る2歳児、などの年少児の特性を知り、それに合った教材を実際に体験し、教材の内容といくつかの種類を覚える。

第10回 教材の素材そのものの感触を楽しむ3歳児、色々な動きにチャレンジする4歳児、などの年中児の特性を知り、それに合った教材を実際に体験し、教材の内容といくつかの種類を覚える。

第11回 たいていの動きをこなし、集団での表現を楽しめる年長児の特性を知り、それに合った教材を実際に体験し、教材の内容といくつかの種類を覚える。一つの作品を作り上げるまでのプロセスも事例より学ぶ。

第12回 日常保育でよく使用される手遊びの指導と導入について実践する。子どもたちの大好きな幼児体操を覚える。日常保育で踊られるフォークダンスやリズムダンスなどをしっかり覚える。

第13回 運動会では多くの機会に、作品の発表が行われる。各年齢向きの教材を知っておくことが必要である。実際に作品を演じてみて、互いに鑑賞し合って、子どもたちにどのように種落ししていくかを考える。

第14回 生活発表会は身体表現のもっとも大きなイベントであり、現場でもその指導を必要とする。そのために、作品を知ること、どのようなプロセスで子どもたちの表現力を引き出せるかを学ぶ。

第15回 この授業を通して身体表現の持つ意味等についてディスカッションを行う。その後、自分で一番表現したい作品をレポートして提出する。 

【事前・事後学習】

事前指導については、表現作品のヒントになるものを日常生活や文献等から見つける(2時間程度)。

事後指導については、授業で行う表現作品について反復練習をする(2時間程度)。

【課題に対するフィードバックの方法】

課題に対するレポートについては、まとめて翌週フィードバックし、全体で共有する機会を持つことで理解を深める。

【授業の到達目標】

子どもの表現の中で身体表現の果たす役割を理解し、実技を通して手遊びや表現作品のいくつかを自分のものにできる。【2018教育学部DP(1)】

表現指導の際に使う言葉かけを多く学ぶことができる。【2018教育学部DP(1)】

指導案の構造を理解し、具体的な保育を想定した指導案を作成することができ、模擬保育とその振り返りを通して、保育を改善する視点を持つことができる。【2018教育学部DP(2)】

【評価割合 - 筆記試験《%》】
0
【評価割合 - 実技試験《%》】
0
【評価割合 - レポート《%》】
20
【評価割合 - 平常評価(授業への参加・貢献度)《%》】
20
【その他(授業内課題等)《具体的内容》】

模擬保育・指導案

【評価割合 - その他(授業内課題等)《%》】
60
【テキスト】

古市久子「保育表現技術」ミネルヴァ書房

【参考図書】

絵本等の教材資料については授業の時に適宜指示する。