授業科目名 配当年次 開講期間 所要単位 必修・選択 担当者名
人間健康特講III 1 前期 2 選択 西尾 敦史


【授業の目的と概要】

コミュニティデザイン研究

私たちの生活の舞台としてのコミュニティを基盤として、人と人のつながり方やその仕組みをデザインすることをコミュニティデザインという。具体的な地域の取組事例を学びながら、少子高齢化や人口減少、主要産業の衰退など、地域の様々な課題を解決する手段として、多様な主体が連携・協力して、まちの活力と魅力を高め「生活の質の向上」を市民協働により実現するコミュニティデザインの手法について理論的、また実際的に理解をすすめ、コミュニティデザインのもつ効用と可能性について学ぶ。

【授業の方法】

講義を中心にすすめるが、各回の課題(ワーク)テーマについてアイディア出しのグループワークを行ったり、意見発表や共有のためのディスカッションを行う。

【各回のテーマ】

第1回 今なぜコミュニティデザインなのか

第2回 コミュニティって何だろう コミュニティの意味

第3回 多様なコミュニティを知る

第4回 コミュニティデザインの理論と方法

第5回 コミュニティデザイン事例研究1~コンパクトシティ

第6回 コミュニティデザイン事例研究2~離島振興

第7回 コミュニティデザイン事例研究3~震災復興コミュニティ

第8回 コミュニティデザイン事例研究4~サードプレイス

第9回 コミュニティデザイン事例研究5~古民家再生

第10回 コミュニティデザイン事例研究6~子育て支援

第11回 コミュニティデザイン事例研究7~介護保険

第12回 コミュニティデザイン事例研究8~環境再生

第13回 欧米の街のコミュニティデザイン

第14回 歴史的建造物によるコミュニティデザイン

第15回 コミュニティデザインの可能性 授業のふりかえりとまとめ

【各回の内容】

第1回 コミュニティデザインが必要とされる社会の変化を理解し、今なぜコミュニティデザインが求められているのかについて、授業全体をガイダンスする。

第2回 人間にとって、コミュニティが必要とされる意味について考え、コミュニティについて理論的に考察する。

第3回 伝統的共同体(ムラ)、都市のコミュニティ、価値や趣味のコミュニティなど、コミュニティの多様性、コミュニティの価値の多様性について理解する。

第4回 市民の声を引きだす参加の仕組みとしてのワークショップと、その場におけるファシリテーターの役割について実践的に学ぶ。

第5回 市町村の中心部に居住地や都市機能を集積することによって、市街地の活性化や行政コストの削減を図り、住民の利便性を向上させようとする都市計画実践を学ぶ。

第6回 地方創生、離島振興という課題に対して新しいツーリズムのあり方として「現代アート」を取り入れたプロジェクトを実践している瀬戸内の離島の実践経験を事例研究する。

第7回 大震災後の復興にあたって、ハード面の整備中心ではなく、人のつながりを創り出すコミュニティデザインの方法が大きな力を発揮している。震災復興のコミュニティデザインについて実践事例を学ぶ。

第8回 サードプレイスとしての「居場所」を地域コミュニティを創り出す試みとして、「まちの縁側」(延藤安弘)の実践の広がりについて学び、コミュニティカフェなどの意義についても考える。

第9回 古民家リノベーションによる地域活性化・まちづくり事例をとおして学ぶ。

第10回 子育て支援のための「親と子のひろば」や子ども食堂などを通してコミュニティづくりに取り組んでいる事例を学ぶ。

第11回 介護保険事業である地域密着型サービスにより、コミュニティづくりに取り組んでいる市町村の事例を学ぶ。

第12回 公害により環境破壊が起きた地域の自然環境を再生させるコミュニティづくりの取り組み事例に学ぶ。

第13回 地域の諸団体とパートナーシップを組み、コミュニティ・エンパワメントを軸としたコミュニティ・マネジメントで再生をめざす、ソフト・ハードの取り組みを進めるドイツの事例を学ぶ。

第14回 地域の記憶が埋め込まれた歴史的な建物を生かした地域活性化の取り組みが各地で進んでおり、公民連携の取り組み態勢を築きながら、歴史的建造物の保存・活用プロデュースを通じたまちづくりの事例を学ぶ。

第15回 授業全体をふりかえり、コミュニティデザインの可能性について考える。

【事前・事後学習】

各回の授業の課題テーマに関して、配布資料を参考に、書籍、メディアやインターネットなどで調べ学習を行い、情報を収集し、関連する知識を得ておく(2時間)。

各回の授業後、課題テーマに対する意見共有・ふりかえりを踏まえて、自分自身の意見・見解をまとめておく(2時間)。

【課題に対するフィードバックの方法】

毎回の授業の課題テーマに関する意見発表・全体での共有・ふりかえりを踏まえて、コメントを行う。次週の授業において、次のテーマへの関連する視点やポイントについて提示する。

【授業の到達目標】

コミュニティデザインの手法により人々と協働して地域貢献ができる。【2018人間健康学部DP(3)】

地域コミュニティに関われる実践的力量を身につけている。【2018人間健康学部DP(1)】

【評価割合 - 筆記試験《%》】
0
【評価割合 - 実技試験《%》】
0
【評価割合 - レポート《%》】
50
【評価割合 - 平常評価(授業への参加・貢献度)《%》】
20
【その他(授業内課題等)《具体的内容》】

各回の授業の課題テーマに対する意見

【評価割合 - その他(授業内課題等)《%》】
30
【テキスト】

資料を配布する(インターネットによる)。

【参考図書】

山崎 亮(2012)『コミュニティデザインの時代 - 自分たちで「まち」をつくる』中公新書

西尾敦史(2017)『横浜発 助けあいの心がつむぐまちづくり 地域福祉を拓いてきた5人の女性の物語』横浜市社会福祉協議会,ミネルヴァ書房

延藤安弘(2015)『こんなまちに住みたいナ: 絵本が育む暮らし・まちづくりの発想』晶文社