授業科目名 配当年次 開講期間 所要単位 必修・選択 担当者名
人間学概論 1 前期 2 必修 井上 研


【授業の目的と概要】

本講義は、「人間とは何か」について、いくつかの観点から人間学という体系の全体像を探る。観点の1つは人間の「発達」と社会性、人間の「健康」のあり方、人間の「存在」などの視点から追求すること、2つは、その歴史的な観点から理解すること、3つは、哲学的人間学から、「人間とは何か」に関する根源的な哲学的議論を踏まえながら、授業内でディスカッションを行い、批判的かつ建設的な議論のあり方を模索する。また講義の形態は、2人の教員のオムニバス方式で実施される。

【授業の方法】

講義形式で授業を行う。授業の内容に応じて、ディスカッションおよびグループワークを取り入れる。

【各回のテーマ】

第1回 ガイダンス―人間の発達の特性―遺伝と環境―

第2回 「子ども」と「おとな」―子ども観の変遷―

第3回 子どもと家族―家庭教育のゆらぎ―

第4回 ジェンダーの世界―性差の変化と社会背景―

第5回 教育観の変遷―学校(家庭・地域・塾)作りにむけて―

第6回 江戸時代の養生(寺子屋は市民教育)

第7回 明治時代の健康(衣食住)

第8回 第二次世界大戦前後の健康(世界と日本)

第9回 生活習慣と健康(不運・非情性・当然性=身体を知る)

第10回 人間と病気(老・病・死)

第11回 人間―この死すべきもの―

第12回 「人間」概念の歴史―大人・性・健常とは―

第13回 不確定性を生きる―実存―

第14回 人間と科学技術―尊厳死・安楽死・脳死等―

第15回 ボーダーと人間―まとめ

【各回の内容】

第1回 人間が遺伝・環境(人的・物的・教育・メディア等)との関連で人格形成される意味を理解する。

第2回 「子ども」と「大人」についてより深く理解する。特に、子ども観は時代により、社会の成熟度によって異なっていることを理解する。

第3回 「家族は最小のデモクラシーである」という観点を踏まえ、また、最も人間成長に影響する環境であることを理解し、家族の重要性を理解する。

第4回 ジェンダーについて、地域・文化・教育によるパラダイムの相違点を見ながら、現実問題を理解する。

第5回 人間教育の歴史の理解を踏まえて、教育の知識と技術という基本的な内容を理解する

第6回 貝原益軒の「養生訓」をテキストにしながら、江戸時代の養生という健康法を理解し、人間教育の重要性等の理解を深める。

第7回 明治時代における健康という知識の普及を健康観からとらえ、衛生、栄養、運動などの観点の導入の歴史から健康の捉え方を理解する。

第8回 第二次世界大戦前後の窮乏生活のなかでの健康の歴史的な経緯を踏まえ、一般国民と兵士の健康度合いと重視の差について理解する。

第9回 生活習慣病を食事と運動の関連で見ながら、食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒などの要因について理解する。

第10回 元気で当たり前の生活ができているときは気にしない「病」。体、心、自律神経等を含めて病気について理解を深める。

第11回 人間は誕生から誰しもが死に向かって歩み始める。だれしもに対等に死があるものであり、死とは何かについて根源的理解を深める。

第12回 人間の概念は、人間を人間学として科学してからスタートしているも、時代環境によって異なっていることを理解する。

第13回 不確定性の時代を生きていくこと。実存していくことの意味を理解し、人間社会を確実に歩んでいくことに理解を深める。

第14回 人間の築き上げてきた「科学力」は人間のものに有る。より科学が高度・進歩することにより、安楽死や脳死等についても捉え方が異なってくることを理解する。

第15回 人間学に関するまとめを行う。人間・人間社会・自然社会・宇宙を理解した上で人間生活を考える。

【事前・事後学習】

1.事前学習として、シラバスにかかわる内容と時間・教室を確認しておくこと。(2時間)

2.事後学習は、自分の生き方・日常生活での過ごし方を振り返ることの読書と実践に努める。(2時間)

【課題に対するフィードバックの方法】

毎回提出された課題ミニレポートは、添削・採点の上、返却する。

【授業の到達目標】

人間らしい生き方を追い求め続け、幅広いものの見方・考え方ができることを目標として理解を深める。【2019人間健康学部DP(1)(2)】

人間の命、幸福について理解を深め、人間らしい生き方、心身の健康、統治政治社会、自然環境と人間との関係について理解できることを目標とする。【2019人間健康学部DP(1)(2)】

【評価割合 - 筆記試験《%》】
20
【評価割合 - 実技試験《%》】
0
【評価割合 - レポート《%》】
70
【評価割合 - 平常評価(授業への参加・貢献度)《%》】
10
【その他(授業内課題等)《具体的内容》】

なし

【評価割合 - その他(授業内課題等)《%》】
0
【テキスト】

使用しない

【参考図書】

和辻哲郎(1934)『人間の学としての倫理学』岩波書店

藤田健治(1971)『哲学的人間学』有斐閣

アルノルト・ゲーレン(1970)『人間学の歴史』紀伊國屋書店