授業科目名 配当年次 開講期間 所要単位 必修・選択 担当者名
哲学 2 後期 2 選択 井上 研


【授業の目的と概要】

哲学とは素朴な疑いを持つことから始まります。他者の心は存在するのだろうか?わたしはなぜわたしでいつづけられるのだろうか?機械は心を持てるのか?講義ではこれらの疑問について古代より現代まで続いている議論について学びます。難解な哲学的問題の理解を促進するために映画を活用します。この講義を通じて、自分でも哲学的に考えられるようになることを目的としています。

【授業の方法】

講義形式で進める。

【各回のテーマ】

第1回 イントロダクション①

第2回 イントロダクション②

第3回 あなた①ー他我問題

第4回 あなた②ー歯医者には患者の痛みが理解できるか?

第5回 機械①ー考える機械の哀しみ①

第6回 機械②ー考える機械の哀しみ②

第7回 機械③ー考える機械の哀しみ③

第8回 わたし①ーわたしがわたしであること

第9回 わたし②ー昨日のわたしはわたしなのか?

第10回 わたし③ービューティ・インサイド

第11回 わたし④ー複製される自己

第12回 わたし⑤ー世界に一つだけの自己・・・?

第13回 科学技術と人間①ーコンピュータに政治をまかせたら・・・?

第14回 科学技術と人間②ー遺伝子操作とエンハンスメントの倫理

第15回 まとめ

【各回の内容】

第1回 些か長めのイントロダクション、パート1。哲学とは何かを考える前にまず、「われわれは考えるのではなく考えさせられる」という言葉について考察する。

第2回 些か長めのイントロダクション、パート2。イントロ前半で考察したことを踏まえた上で、「哲学的に考えること」のエッセンス、特徴を解説する。講義全体の展望。

第3回 他者の心の存在について考察する。また、他人の気持ちや想いがわかるとはどのようなことなのかについて考察する。

第4回 他者に心が存在するという信念の根底にある「類推」について批判的に検討する。

第5回 コンピュータの歴史について。計算主義の解説をする。『考える機械の哀しみ』という対話劇を通じて「中国語の部屋」などの思考実験を解説する。

第6回 引き続き『考える機械の哀しみ』という対話劇を通じて、コンピュータに知能や感情は宿るか、について考察する。「チューリングテスト」について解説する。

第7回 映画『エクス・マキナ』などを鑑賞して、「考える機械」について理解を深める。

第8回 わたしがわたしであるためにもっとも重要なものは何か、という自己の問題について考察する。

第9回 「人格の同一性(アイデンティティ)」について考察する。映画『セルフ/レス』を鑑賞する。

第10回 映画『ビューティ・インサイド』を鑑賞し、自己の同一性にとって何が重要なのかを考察する。

第11回 「スワンプマン」や「転送機」といった思考実験を通じて、「複製させる自己」と「自己の同一性」について考察する。

第12回 「世界に一つだけの自己」という常識的な信念について、批判的に検討する。

第13回 「AIに政治を任せる」ということについて考察する。

第14回 遺伝子操作とエンハンスメントの倫理について考察する。

第15回 これまでの講義のまとめ。レポートの作成指導など。

【事前・事後学習】

教員からの質問について自分なりの答えを考えてみる。

【課題に対するフィードバックの方法】

提出されたレポートは採点の上、返却する。

【授業の到達目標】

人間の存在や価値について考えることができる。

日常生活の中に哲学的な問題が潜んでいることを理解する。

【評価割合 - 筆記試験《%》】
【評価割合 - 実技試験《%》】
【評価割合 - レポート《%》】
60
【評価割合 - 平常評価(授業への参加・貢献度)《%》】
40
【その他(授業内課題等)《具体的内容》】

【評価割合 - その他(授業内課題等)《%》】
【テキスト】

使用しない。

【参考図書】

スティーブン・ロー『北極の北には何がある?』ランダムハウス講談社文庫

岡本裕一朗『思考実験:世界と哲学をつなぐ75問』ちくま新書

岡本裕一朗『いま世界の哲学者が考えていること』ダイヤモンド社

ジュリアン・バジーニ『100の思考実験』紀伊國屋書店

トマス・ネーゲル『哲学ってどんなこと?―とっても短い哲学入門』昭和堂