授業科目名 配当年次 開講期間 所要単位 必修・選択 担当者名
人間健康特講I 1 前期 2 選択 西尾 敦史


【授業の目的と概要】

非営利組織の経営

非営利組織(NPO)は、行政(第1セクター)、営利企業(第2セクター)とは異なる第3の(サード)セクターを形成し、その独自の機能に注目が集まっている。営利を追求しない、中立性を求められる活動を担う主体としての特徴を生かすことで、コミュニティ、まちづくり活動、医療・福祉、国際協力など、多くの分野において活躍が広がり、社会に対する影響力も高まっている。授業では、非営利組織の存在意義とその役割、企業や行政との協働の実際、その期待と求められる責任やマネジメントについて学習する。

【授業の方法】

講義を中心にすすめるが、各回の課題(ワーク)テーマについてアイディア出しのグループワークを行ったり、意見発表や共有のためのディスカッションを行う。

【各回のテーマ】

第1回 第3セクター・非営利組織(NPO)の存在意義

第2回 非営利組織(NPO)の経営理論

第3回 子育て分野の非営利組織(NPO)の経営事例

第4回 地域福祉分野の非営利組織(NPO)の経営事例

第5回 社会福祉法人による地域共生の経営事例

第6回 生活協同組合の経営事例

第7回 財団法人の経営事例

第8回 医療法人の経営

第9回 社会的企業の使命とその経営

第10回 コミュニティビジネスとその経営

第11回 地域文化開発をすすめる非営利組織(NPO)の経営

第12回 企業の障がい者雇用

第13回 女性が働きやすい雇用環境

第14回 非営利組織の会計マネジメント、ファンド・レイジング

第15回 非営利組織の経営の展望 授業のふりかえりとまとめ

【各回の内容】

第1回 今日の市民社会における非営利組織(NPO)の存在意義について、ペストフの三角形を通して考える。

第2回 ドラッカーの「非営利組織の経営」を題材にNPOのマネジメントについて学習する。

第3回 子育て支援NPO「びーのびーの」(横浜市)を取り上げて、事例研究する。特定非営利活動促進法についても学ぶ。

第4回 福祉NPO「このゆびとーまれ」(富山県)を取り上げて、「地域共生ケア」とその願い、全国への波及について事例研究する。

第5回 「社会福祉法人 佛子園」(石川県)の「シェア金沢」を取り上げて、「ごちゃまぜ」のコミュニティづくりの取り組みについて事例研究する。

第6回 消費生活協同組合法(昭和23年法律第200号)に基づいて設立された生活協同組合は国民の半数が加入する非営利組織である。そのマネジメントと先駆的な地域福祉活動について事例研究する。

第7回 民法に基づき、一定の目的のために提供された財産を管理・運営するために設立された法人が財団法人である。授業では、YMCA(財団法人キリスト教青年会)を取り上げて、その歴史、経営マネジメント、先駆的活動について学ぶ。

第8回 医療法人は、医療法に基づき「病院、医師若しくは歯科医師が常時勤務する診療所又は介護老人保健施設を開設しようとする 社団又は財団」で広義の非営利組織である。特徴ある医療法人の経営について学ぶ。

第9回 「社会的企業」とは、営利を目的とせず、事業を通じて社会的な目的の達成をめざす企業やNPOである。現代社会の中で特徴ある役割を果たす社会的企業の事例を取り上げて、そのマネジメントについて学ぶ。

第10回 「マルタのやさしい刺繍」を題材に、コミュニティを基盤に住民が主体となったコミュニティビジネスとその経営について学ぶ。

第11回 ワイン醸造(ワイナリー)から販売までをコミュニティビジネスの視点で展開する非営利組織の活動を取り上げ、その地域マネジメントについて事例研究する。

第12回 企業、非営利組織の障がい者雇用の意義について、スウェーデンの企業「サムハル」を取り上げて、そのマネジメントについて学ぶ。

第13回 「子育てサポート企業」として、厚生労働大臣の認定を受けた「くるみん認定企業」を題材に取り上げ、女性が働きやすい雇用環境をつくるマネジメントについて学ぶ。

第14回 非営利組織の会計マネジメント、ファンド・レイジングを中心に、人事・労務管理、人材育成システムについても学ぶ。

第15回 授業をふりかえり、これからの市民社会に向けた非営利組織の経営の展望と可能性について考える。

【事前・事後学習】

各回の授業の課題テーマに関して、配布資料などを参考に、書籍、メディア、インターネットなどで情報を収集し、関連する知識を得ておく(2時間)。

各回の授業後、課題テーマに対する意見共有・ふりかえりを踏まえて、自分自身の意見・見解をまとめておく(2時間)。

【課題に対するフィードバックの方法】

毎回の授業の課題テーマに関する意見発表・全体での共有・ふりかえりを踏まえて、コメントを行う。次週の授業において、次のテーマへの関連する視点やポイントについて提示する。

【授業の到達目標】

非営利組織が現代社会の中で果たす役割の大きさを理解している。【2018人間健康学部DP(3)】

非営利組織のマネジメントの課題、手法について理解している。【2018人間健康学部DP(3)】

非営利法人の設立・運営マネジメントの実践力を身につけている。【2018人間健康学部DP(1)】

【評価割合 - 筆記試験《%》】
0
【評価割合 - 実技試験《%》】
0
【評価割合 - レポート《%》】
50
【評価割合 - 平常評価(授業への参加・貢献度)《%》】
20
【その他(授業内課題等)《具体的内容》】

各回の授業の課題テーマに対する意見

【評価割合 - その他(授業内課題等)《%》】
30
【テキスト】

資料を配布する(インターネットによる)。

【参考図書】

P.F.ドラッカー(2007)『非営利組織の経営』ダイヤモンド社

岩崎 夏海(2009)『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』ダイヤモンド社

NPOホームページ(内閣府)https://www.npo-homepage.go.jp/