授業科目名 配当年次 開講期間 所要単位 必修・選択 担当者名
災害と健康 1 後期 2 選択 西尾 敦史


【授業の目的と概要】

健康の前提条件に、「平和」「住居」「教育」「食糧」「収入」「安定した環境」「持続可能な資源」「社会的公正と公平」がある(WHO)が、災害はこれらすべてを脅かすリスクとなる。自然災害の被災者のこころと身体の健康に影響を及ぼす要因と対策について、災害発生からの時間経過をタテ軸に、変化する生活環境や地域コミュニティをヨコ軸に、ライフラインの停止や物資の不足、家族の喪失や避難所や仮設住宅での生活のストレス要因、その対策としての医療、健康支援、こころのケアや行政・NPO等の取り組み等について学ぶ。

【授業の方法】

講義を中心にすすめるが、各回の課題(ワーク)テーマについてアイディア出しのグループワークを行ったり、意見発表や共有のためのディスカッションを行う。

【各回のテーマ】

第1回 災害と健康~ガイダンス

第2回 健康とは何か~健康の概念

第3回 健康へのリスク

第4回 自然災害の時間的プロセスにおける健康の維持・管理

第5回 災害発生時直後の健康管理

第6回 こころのケア

第7回 復興期における健康維持

第8回 災害時の食と健康

第9回 災害とペット

第10回 災害時要配慮者支援

第11回 災害ユートピア

第12回 労働災害と健康

第13回 健康帝国・健康ユートピア

第14回 気候変動と健康

第15回 災害と健康~授業のふりかえりとまとめ

【各回の内容】

第1回 私たちの心身の健康に大きな影響をもたらす、災害や災害が引き起こす環境変化とその対策の全体像について学ぶ。

第2回 健康とは何か~健康の概念、定義についてWHO(世界保健機構)の定義を中心に学ぶ。

第3回 現代生活を取り巻く健康リスクについて、自然災害を中心に、感染症、環境汚染、食品汚染、ストレス、医療事故、アレルギーなども含めて検討する。

第4回 災害前(災害に備える)、災害中(被災地の健康)、災害後(復興期の健康)における健康の維持・管理について概観する。

第5回 ライフラインの停止や物資の不足、家族の喪失や避難所での生活状況における健康支援、サポートの意義について学ぶ。

第6回 災害発生によるPTSDとこころのケア、メンタルヘルスについて学ぶ。

第7回 復興期(仮設住宅や復興公営住宅など)における健康維持・管理について学ぶ。

第8回 食は生命の維持、健康の基本にある。しかし、災害時にはその供給が困難に陥る。非常食や災害時の食事について学ぶ。

第9回 ペットも家族だと考える人が多くなるなかで、災害時のペットの避難、準備、ペットの問題、ペットの支えなどについて考える。

第10回 災害時に犠牲となる割合の高い、要援護者、要配慮者の健康不安と避難支援の対応や生活再建に向けた取り組みについて学ぶ。

第11回 大規模な災害が発生すると、被災者や関係者の連帯感、気分の高揚、社会貢献に対する意識などが高まり、一時的に高いモラルを有する(理想的といえる)コミュニティが生まれる現象について学ぶ。

第12回 自然災害とは別に、労働者の就業に係る事故などによる労働災害(労災)がある。労働災害の事例から、健康な働き方の維持・管理について学ぶ。

第13回 ナチス・ドイツ時代のガン撲滅運動、禁煙運動、食生活改善運動などの「健康ユートピア」をめざした公衆衛生の実態について学ぶ。

第14回 気候変動が引き起こす健康被害について、熱中症、感染症、水・食糧不足、栄養失調などの健康リスクについて学ぶ。

第15回 授業をふりかえり、災害と健康について、非常時にも、また非常時に備えて健康が維持、増進できる可能性について考える。

【事前・事後学習】

各回の授業の課題テーマに関して、配布資料を参考に、書籍、メディアやインターネットなどで調べ学習を行い、情報を収集し、関連する知識を得ておく(2時間)。

各回の授業後、課題テーマに対する意見共有・ふりかえりを踏まえて、自分自身の意見・見解をまとめておく(2時間)。

【課題に対するフィードバックの方法】

毎回の授業の課題テーマに関する意見発表・全体での共有・ふりかえりを踏まえて、コメントを行う。次週の授業において、次のテーマへの関連する視点やポイントについて提示する。

【授業の到達目標】

災害時、日常時において人びとの健康維持のために貢献できる。【2018人間健康学部DP(3)】

災害と健康に関する専門的知識・実践的能力を身につけることができる。【2018人間健康学部DP(1)】

【評価割合 - 筆記試験《%》】
0
【評価割合 - 実技試験《%》】
0
【評価割合 - レポート《%》】
50
【評価割合 - 平常評価(授業への参加・貢献度)《%》】
20
【その他(授業内課題等)《具体的内容》】

各回の授業の課題テーマに対する意見

【評価割合 - その他(授業内課題等)《%》】
30
【テキスト】

資料を配布する(インターネットによる)。

【参考図書】

内閣府(2012)「被災者のこころのケア都道府県対応ガイドライン」

石井昇、箱崎幸也、奥寺敬編(2007)『災害・健康危機管理ハンドブック』診断と治療社

内閣府『防災白書』 http://www.bousai.go.jp/kaigirep/hakusho/