授業科目名 配当年次 開講期間 所要単位 必修・選択 担当者名
保健福祉行政論 1 後期 2 選択 西尾 敦史


【授業の目的と概要】

私たちは社会の中で成長し、生活し、働き、高齢者になる。子どもや家族とともに幸せに生活していくために、社会が用意する支援やサービス、規制などの公的な制度は重要な役割を果たしている。本授業では、人間のライフサイクルにあわせて組織されている保健・医療・福祉行政のしくみを理解するために、公衆衛生や社会福祉の歴史や概念、法制度および関連する行政の組織機構について系統的に学習する。健康分野の援助職として、また一市民として知っておくべき、保健医療福祉の行政システムのしくみ、マネジメントについて理解を深める。

【授業の方法】

講義を中心にすすめるが、各回の課題(ワーク)テーマについてアイディア出しのグループワークを行ったり、意見発表や共有のためのディスカッションを行う。

【各回のテーマ】

第1回 ガイダンス~保健医療福祉行政のめざすもの

第2回 医療保険(医療財政)と日本の医療の特徴 

第3回 医療提供体制の概要

第4回 介護保険制度(市町村行政)

第5回 年金保険制度と年金保険行政

第6回 雇用保険と労働者災害補償保険

第7回 公的扶助(生活保護)の福祉事務所行政

第8回 障害者福祉行政

第9回 児童家庭福祉行政

第10回 官僚制と専門主義

第11回 保健行政(衛生行政)と労働衛生行政

第12回 福祉医療保健の財政

第13回 国・都道府県・市町村行政の仕組み

第14回 公衆衛生に関する国際的な活動

第15回 授業のふりかえりとまとめ

【各回の内容】

第1回 人間のライフサイクルの中で保健医療福祉制度が果たしている機能・役割を概観する。

第2回 日本の国民皆保険制度としての医療保険制度を欧米の医療と比較しながら、その特徴を考える。

第3回 病院・診療所などの医療施設、医師や看護師などの医療従事者による医療提供体制の構造と医療行政の課題について学ぶ。

第4回 介護保険制度の保険者である市町村行政の役割を中心に、介護保険の仕組み・サービス・財政などについて学ぶ。

第5回 年金未納問題、消えた年金問題、年金依存同居など問題が指摘される年金保険制度の仕組みとその行政(運営)システムについて学ぶ。

第6回 失業や事故などのリスクに備えるための労働保険のシステムとその行政(運営)システムについて学ぶ。

第7回 「健康で文化的な最低限度の生活」を保障する生活保護制度の仕組みとそれを運営する福祉事務所行政とケースワーカーの仕事について理解する。

第8回 障害者福祉施設から地域生活にその中心が移行しつつある障害者福祉行政の仕組みについて学ぶ。

第9回 子ども虐待に取り組む児童相談所の役割機能を中心に、児童家庭福祉行政について学ぶ。

第10回 福祉医療保健に関する行政に特徴的な構造的な課題として、官僚制と専門主義について学ぶ。

第11回 保健(衛生)行政の仕組み、従事者、その構造とシステムについて、労働衛生行政を含めて学ぶ。

第12回 福祉医療保健の財政について、国・都道府県・市町村の役割について学ぶ。

第13回 地方公共団体の保健医療福祉計画など、行政による計画策定・推進について学ぶ。

第14回 グローバル時代に潜む脅威としての感染症のパンデミック、目に見えない脅威と闘う国際的な活動について学ぶ。

第15回 授業をふりかえり、今後の保健福祉政策を展望する。

【事前・事後学習】

各回の授業の課題テーマに関して、配布資料を参考に、書籍、メディアやインターネットなどで調べ学習を行い、情報を収集し、関連する知識を得ておく(2時間)。

各回の授業後、課題テーマに対する意見共有・ふりかえりを踏まえて、自分自身の意見・見解をまとめておく(2時間)。

【課題に対するフィードバックの方法】

毎回の授業の課題テーマに関する意見発表・全体での共有・ふりかえりを踏まえて、コメントを行う。次週の授業において、次のテーマへの関連する視点やポイントについて提示する。

【授業の到達目標】

保健福祉行政の仕組みに関する専門的知識・実践的能力を身につける。【2018人間健康学部DP(1)】

保健福祉の価値を高められるよう、人びとと協働して地域貢献ができる。【2018人間健康学部DP(3)】

【評価割合 - 筆記試験《%》】
0
【評価割合 - 実技試験《%》】
0
【評価割合 - レポート《%》】
50
【評価割合 - 平常評価(授業への参加・貢献度)《%》】
20
【その他(授業内課題等)《具体的内容》】

各回の授業の課題テーマに対する意見

【評価割合 - その他(授業内課題等)《%》】
30
【テキスト】

資料を配布する(インターネットによる)。

【参考図書】

武川正吾(2011)『福祉社会: 包摂の社会政策』有斐閣アルマ

厚生労働省『厚生労働白書』 https://www.mhlw.go.jp/toukei_hakusho/hakusho/index.html

総務省『地方財政白書』http://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/hakusyo/